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2015.08.28

坂井

家主様の目線で考える大規模修繕工事

賃貸物件には、鉄筋系のマンション、鉄骨造のコーポ、木造のアパート等、様々な構造・規模の集合住宅(ちなみに登記上は「共同住宅」と言います)があります。

集合住宅の分類で構造上の分け方では、鉄筋系・重量鉄骨造などの建物は『堅固な建物』、木造のものなどは『非堅固な建物』という分類もされます。

それぞれに更に細かく、
・建築に使用されている材料(鉄骨鉄筋・鉄筋コンクリート、重量鉄骨、軽量鉄骨、木骨、木造・・等々)
・使用用途(住居、事務所、店舗・・等々)

分類され、それによって建物の耐用年数(※おおまかな寿命と思ってください。税務上の建物の償却期間を定めたものを「法定耐用年数」と言います)が異なり、建物を建てる際、中古で購入する際等に銀行など金融機関からお金を借りる融資限度額等にも大きく影響します。

一般的には、『堅固な建物』の方が、新築時の建築コストは高くつきますが、丈夫で長持ちということになり、一例として耐用年数を住宅用途で比較すると、

鉄骨鉄筋・鉄筋コンクリート造・・・47年
木造・・・・・・・・・・・・・・・22年

といったように倍以上の耐用年数となっています。

ただし、耐用年数というのは建物の寿命の目安ではありますが、これは何も手入れをしなくてもこれだけの期間は大丈夫・・・と言うことでは決してありません!

戸建て住宅にしても、集合住宅にしても、それぞれの構造に応じて、適切な時期に必要な箇所のメンテナンスを実施することでこの建物の寿命である耐用年数をまっとうすることが出来ます。
例えば、鉄筋コンクリート造のマンションでも一般的に、

・鉄部塗装※・・・5~8年
(※PS扉(パイプシャフトの略、メーターボックスとも呼ばれます)、MDF・IDF(テレビや電話の配線が収納された鉄製の箱)、玄関枠、共用部分の鉄扉等の鋼製建具の塗装)
・屋上防水(※シート防水の場合)・・・貼替10~15年、トップコート(表面の保護塗装)は5~7年

等々、それぞれの部位をそれぞれの部材に応じて、適切なタイミングでメンテナンスを行う必要があり、10~15年ごとには足場を組んで外壁の大掛かりな修繕を行う「大規模修繕工事」を実施する必要があります。
これらを適切に行わなければ、鉄部が錆びて腐食し穴があいたり、防水切れによる雨漏り、漏水事故の原因となります。

大規模修繕工事が行われていないと、外壁のタイルが剥れ落ちたり、コンクリートのヒビ割れから入った水が鉄筋を錆びさせ、錆びによって膨張した鉄筋がむき出しになりコンクリートが剥落してしまう「爆裂」という現象もおこる恐れがあります。

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これらは、建物としての機能・外観を著しく悪化させ、建物の寿命を縮めしまい、資産価値を損なうだけでなく、外壁タイルやコンクリート片の落下による重大な事故の恐れがあります。

これらの事故を防ぎ、資産価値の維持と安定した入居者確保のためにも、「大規模修繕工事」をはじめとする、各部位ごとの定期的なメンテナンスを実施することは、賃貸経営に欠かせない必須の計画であると言えます。

これらのメンテナンス工事を計画的に、効率よく実施するためには、家主様の意向だけはではなく、入居者様との調整も図り、管理会社、工事業者等のコンセンサスを十分にとったうえで、予算、仕様、工期、足場架設時の代替駐車場の確保等、入念に計画を立てる必要があります。

特に新築工事と違い、人が生活している状況下で工事を円滑に行うことは、調整役である管理会社・工事を行う施工業者の経験値も重要な要素で、工事の段取りが悪いと、入居者様に大変なご迷惑をお掛けし、入居者離れを起こす恐れすらあります。

当社でも、管理会社として、時には施工業者として大小様々な賃貸の集合住宅の工事に取り組んでいます。

特に管理会社の立場では管理業務のオプションとして、長期的な計画での工事の必要性を認識したうえで、家主様にたいして「大規模修繕工事」をはじめとするメンテナンス工事の計画立案、説明に始まり、施工計画、概算予算の算定、施工業者選定の助言、工事中の様々な調整、工事完了時の確認作業立会等の一連の業務も請け負っています。

賃貸住宅も新築から築浅と呼ばれる物件は人気があり、入居者確保もスムーズに行くことが多いですが、築年数が経過して建物が古くなってきた頃に、お部屋のリノベーションと同様に、外観・共用部分のメンテナンス状態がどのようであるかは、入居者様のお部屋選びの重要なポイントとなります。

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長期にわたり安定した賃貸経営を続けていくために、パートナーである管理会社を選ぶときは、日常的な管理はもちろん、このような長期的な視野での管理能力が十分であるかは大切な要素です。
すでに家主様として賃貸経営をなさっている方も、これから計画している方も、ぜひ管理会社選びのご参考になさってください。

お気軽にお問合せ下さい。
山陽地所株式会社
TEL 086-231-2375
FAX 086-225-5746

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